エリオット波動とは…?
エリオット波動論は欧米をはじめ世界中に多くの信奉者がいる相場分析法です。チャールズ・ダウより少し遅れて米国で活躍した株式アナリスト、ラルフ・ネルソン・エリオット(1871年~1947年)が開発し戦後の60年代になって再評価され、投資家の注目を集めるようになりました。その理論は、単なる相場の値動きだけでなく、1000年単位の歴史の周期まで視野に入れた壮大なものであります。
エリオット波動論を一言でいうと、「相場にはサイクルがあり、値動きには一定のリズムがある」ということになります。エリオットは、過去のNYダウ平均を緻密に分析することで、値動きのなかに「上昇→下降」の波が一定の規則性をもって何度も出現することを発見しました。これが「上昇5波・下降3波」というエリオット波動の根幹をなす値動きの周期です。
つまり、上昇相場は「上げ→下げ→上げ→下げ→上げ」という5つの連続した波動から成り立ち、その後には「下げ→上げ→下げ」という3つの波動による下降調整相場が続くというものであります。
エリオット波動の考え方
考え方としましては値動きは、上昇は「W」、下降は「逆さN」の字形で動くと考えられています。
さらに、値動きの周期には長短さまざまなものがあり、「サイクル」という大波動の波の一つ一つのなかに「プライマリー」と呼ばれる上昇5波があったりその細部にもまた「インターミディエート」という小波動があったりと、いわば、"入れ子細工"のような構造になっている点に特徴があります。
エリオット波動のもっとも長いものは、「ミレニアムサイクル」(千年周期)と呼ばれ、ローマ帝国の滅亡に始まり、重商主義の発展、産業革命の勃興まで視野に入れた、実に遠大なものです。
この千年周期の次には、数十年から100年前後の「グランド・スーパー・サイクル」が続き、「メヌエット」と呼ばれる数日単位の小波動まで、9つの波に分類されています。
こうしたエリオット波動論は、1929年の世界大恐慌や、1987年のブラックマンデー大暴落を見事に的中させ市場の注目を浴びる契機になりました。
FXの場合、株価と違って、一方の通貨が下落するということは、もう一方の通貨が上昇することなので、下降トレンドなら「下降5波・上昇3波」があってもおかしくありません。

エリオット波動の使い方

図2は2007年6月に1ドル124円の高値をつけその後、長期下降トレンド入りした「ドル/円」の月足チャートです。「逆Wの字型」の線で示したようにその値動きは明らかに、5波の「下げ→上げ→下げ→上げ→下げ」で構成されており、円の上昇(つまりドルの下落)という「円高5波」が完成しています。
現状は、そこから76円~84円台を横ばいで推移している状態でくるべき「円安3波」がまだ訪れたわけではありません。しかい4年近くの周期で円高5波が終焉したととは明らかで、今後、もし円高に触れるとしても、1ドル75円35銭の史上最高値を更新することはないだろうかと予測することができます。
エリオット波動の特徴
- 第1波=じわじわとした動きで徐々に方向性が明らかに。
- 第2波=第1波の大半を打ち消す反対方向のかなり強い動き。売買高が低下することで収束。
- 第3波=通常はもっとも強く長い動きで、5波のうち最大値幅動くことが多い。
- 第4波=乱高下が続く複雑な動きで高値持ち合いに近い。
- 第5波=かなりのスピードと勢いをもったバブル的な急騰であることが多い。
図2の「ドル/円」の値動きは、第5波がもっとも長く第5波のなかにさらに5つの波を確認することができます。
このように「上昇5波・下降3波」といっても形が崩れていたり波の数が違っていたりする場合も多く、エリオットはこれを「エクステンション(延長)」と呼びます。
たとえば、上昇5波のなかでは、第3波や第5波が複数の波になって、エクステンションしやすいといわれています。5つの波のなかでエクステンションが起こるのは通常ひとつの波だけです。

上昇5波の原則とは…?
- 第1、3、5波の上昇で第3波が一番短くなることはない。
- 第1波の上昇を完全に打ち消すような第2波の下落はない。
- 第4波の下落が第1波の波の頂点を下回ることはない。

エリオット波動の「上昇5波・下降3波」と、フィボナッチ数列との関連性もよく指摘され、3、5やその和である8はフィボナッチ数列に登場する数でもあります。
上昇5波は、さらに5波→3波→5波→3波→5波の計21波に細分化されますが、21もまたフィボナッチ数列になります。そのため、エリオット波動の分析には、フィボナッチ・リトレースメントを併用することが一般的とされています。
エリオット波動フィボナッチ との関連性

図4は、2002年から現在に至るまでの「ユーロ/ドル」の長期月足チャートです。
チャート上には、比較的クリアな「上昇5波・下降3波」が確認できます。またその波動は2010年5月に終わり反転上昇を始めましたが、次の上昇サイクルに移行せず、このまま下落が続くようなら、「下降5波」があらたに完成しそうな勢いです。
この値動きをフィボナッチ・リトレースメントで分析してみると、「ユーロ/ドル」は2008年8月に、1ユーロ1.6ドル台の最高値をつけて以降、それまでの上昇幅の50%ライン付近で実に3度も下げ止まっています。
ユーロ危機の深刻化を考えると、もっと下がってもよさそうなものです。しかし、過去の上昇幅の50%ラインを突き破れないところを見ると、「ユーロ/ドル」が意外に底堅い値動きをしている、と考えることもできるのです。


